ここは、丹波市島で山猿塾を主宰する青木慧さんからの便りのコーナーです。
目 次
◆山猿塾だより◆171-仕事増やしの迷人 FAGRI掲載日 97/11/12 ◆山猿塾だより◆172-読者見学ツアー FAGRI掲載日 97/11/16 ◆山猿塾だより◆173-鶏飼育&見学ツアー計画FAGRI掲載日 97/11/20 ◆山猿塾だより◆174-創作住宅見学ツアー& FAGRI掲載日 97/11/27 ◆山猿塾だより◆175-養鶏&見学ツアー FAGRI掲載日 97/11/28 ◆山猿塾だより◆176- FAGRI掲載日 97/12/03 ◆山猿塾だより◆177-見学ツアーと今後-上 FAGRI掲載日 97/12/17 ◆山猿塾だより◆178-見学ツアーと今後-下 FAGRI掲載日 97/12/20 ◆山猿塾だより◆179-食糧と燃料の自給 FAGRI掲載日 97/12/20 ◆山猿塾だより◆180-定年帰農&年末年始 FAGRI掲載日 98/01/02Contents Copyright 1996,97 Satoshi Aoki
11640 ◆山猿塾だより◆171-仕事増やしの迷人 FAGRI掲載日 97/11/12 樵さん(#11607) 遠路を御苦労さんでした。無人駅のJR丹波竹田から約3キロの道を歩くのは、いま では山猿塾の参加者か運転免許のない女房くらいのものです。でも、ちっちゃな小学生 でも4キロを歩いて通学し、中学生は10キロ前後を自転車通学です。丈夫な子どもが 育つでしょう。 あれが〈事件〉ですか? 私は平常心ですが、びっくりさせてすみません。バチンと やって、ケロッと忘れる質の悪い年寄りです。そういえば、若いころ事件記者をやった こともありますが、いたって平常心で取材していました。 ずいぶん荒っぽい小麦の播種でしたが、必ず芽を出します。小麦の生命力を信じてい ます。あのあと、残りの小麦を崖にもまきましたが、必ず芽をふくと思ってます。ただ、 収穫の具合はやってみないとわかりません。 私も自然に対し方が〈創造力〉あるいは生命力だと思っています。樵さんのいう〈野 生の法則〉もその別の表現かもしれませんね。それらを見失っているのがほかならぬ私 たち人間だと反省するようになりました。 Miyazawaさん(#11617) 会議室の再編成の作業、御苦労さんです。作業が始まったのもわかってはいましたが、 議論には参加しませんでした。痛む腕の自力治療のため、パソコンの使用は本業の原稿 と山猿塾だよりなどの執筆に限定していますので、あしからず。 再編成に期待し、その作業が終了するのを待って本格的に書き込みたいと思います。 自宅も完成しましたので、今後は本腰を入れて農林業と山猿塾に取り組んでいたいと思 っています。よろしくお願いします。 拙著の方もよろしく。建築デザイン関係のFARCDのみなさんのあいだで、見学ツ アーが計画されつつあります。建築家たちと当地の林業関係者との交流の機会にもなら ないかと逆提案しています。 Nackさん(#11627) 「専門がないのが専門」の拙著は、以前からどの棚に並べたらいいのか書店泣かせで した。今度の拙著もそうだと思います。26冊も書いていても、同じ棚に並ぶことはあ まりありません。 チェーンソーは3台あるので、ついつい目立ては後回しになってしまいます。ゲージ のついた目立て補助道具は、現地事務局さんに借りて使った経験がありますが、かえっ て使い勝手が悪く、目立てはヤスリだけでやるようになりました。 ろくに目立てもせずに一番くたびれているのは薪の裁断用に使い、造作などに使用す るときはもう1台の方を使ってきました。1昨日も薪が底をつき、ほとんど丸1日かか って14箱の薪を裁断し割りました。これも10日ともちません。 神戸産の桜を丹波の山奥で燃すのも変な具合ですが、助かりました。その分、ほかの 仕事で走り回ることができました。今年は乾燥した薪材の備えがあり、生木ばかり燃し てきたこれまでに比べるとよく燃え助かっています。 だが、その分だけ薪が早くなくなり、また木酢液やススの生産が予想どおりすすまな いのが難点です。車庫も鶏舎も実験的な板ぶきにの屋根にして木酢液を塗ろうと思って いましたが、既存のテラスや風呂の壁などに塗っていく分も足らなくなるのではと案じ ています。 ひまわり小屋のそばに炭の浄化槽を造っていてくれたんですね。炭でも焼かないと、 木酢液が不足してしまいそうです。引き受けていた間伐を早くやってほしいと、現地事 務局さんに催促されましたので、炭焼きはすぐにはできません。鶏舎、車庫用の間伐材 の入手が先決です。 雨が降らないこともあって、野菜苗の移植などにどろどろの泥を活用しています。N ackさん寄贈のツルハシには、さっそく買ってきた柄をつけました。威力があって大 いに助かっています。こういうのは一定の重量がある方が楽ですね。 できるだけ余計な手をかけない主義ですが、こう雨が降らないとイチゴや野菜には散 水せざるをえません。あちこちの小麦にはホースもとどかず放任です。最悪でも春まで に芽を出すでしょう。 サナギマンさん(#11639) こつこつと創作住宅を建ててようやく家は自給しました。これからが山猿塾も第二段 階に突入するぞ! これからが本番だ! とはりきっています。まず自分の食べるもの くらいは自給自足するという段階から、さらにはその領域をひろげていきたいと思って います。 また自給も果樹、養鶏畜産、野菜などの農産物のほか林産物も織り込んで、総合的な ものにしたいと思っています。この土地の物質循環に適応した有機的な栽培を編み出し たいと思っています。 自給自足の規模も、まずわが家やキャンプのさいの食糧から、いつでも参加者が汗を 流したら、その分のエネルギーに相当する農産物が持ち帰れるようにひろげたいです。 鶏の飼料の自給自足も不可欠です。 すでに手持ちの土地にはほとんどすべて作付けしました。厚まきしていた水菜、なば な、チンゲンサイなども崖や畦に移植しています。野菜の苗もまだまだ余っており、小 麦の移植苗ものびてくるはずですが、もう植える土地がないところまできました。 手間をおしまず、持ても土地の崖でもなんでも有効に活用して土地生産性をあげると ともに、つぎの段階にすすみたいと思っています。作付け面積をひろげていくことです。 実は市ノ貝川の土手の草刈りは地元の集落の日役ですすめてきましたが、その草刈り を請け負う代わりに土手に丹波黒大豆や大豆などを作らせてもらおうかと考えていまし た。が、自治体の管理している河川ですから、なにかと複雑です。 まず山猿塾入り口の田圃の土手から始めようかと持ち主に話したところ、「土手やな くても田圃があいとるで、つこうとくんなはれ、豆をまく時期になったらすいたげます わ」ということになりました。 約1反ありますが、ここを借りようと思います。サナギマン果樹園の果樹やコナラ、 サクランボなどが成長してくると、その下では作物も作れなくなってきますが、借りる となれば、鶏舎の位置もサナギマン果樹園などに放し飼いができるように、いま樹皮の 山があるあたりに変更しようと思います。 また借りれば、そのなかで市民農園のように個人別に区切って使いたい希望者があれ ばそれも実現できます。というように、山猿塾の活動の範囲と内容をひろげ深めていき たいです。死ぬまで多忙を極めそうですが、「仕事増やしの迷人」の本性がむき出しに なってきました。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ 11665 ◆山猿塾だより◆172-読者見学ツアー FAGRI掲載日 97/11/16 ◇マスコミ報道と執筆◇ 『週刊金曜日』のコラム「本の自己紹介」に、拙著『やったぜ! わが家を自力建築 −毒漬け住宅に住めるか』について書きました。掲載号は未定です。東京の『夕刊フジ 』の電話取材も受けましたので、そろそろ掲載されるでしょう。 『読売新聞』も丹波版ですが、発刊直後の12日付のトップ記事で紹介してくれまし た。現地事務局さんは「土方みたいで写真がよくない」といいますが、私は土方体質に なってしまっていますから、リアルでこれがいいんだと思っています。 『増刊現代農業』に執筆を約束しました。来年1月に発刊予定の号です。本業でも農 林業と農村問題にかかわっていこうと意欲を燃やしています。第三種兼業農家としての 実地体験取材が、今後の単行本のテーマにもなっていきます。 ◇拙著読者の見学ツアー◇ 創作住宅の自力建築は、建築・デザイン関係のFARCD−15会議室に不定期に書 いてきましたが、この会議室のメンバーの拙著の読者のあいだで、見学ツアーをやろう と計画中です。12月13日(土曜)午後3時、現地集合です。 中心が東京の建築家(設計士、弁護士など)たちであり、特別企画で創作住宅を解放 し、雑魚寝になりますが1泊してもらいます。だるまストーブで鍋を囲み、結露もしな い木の家の吸放湿性や暖房効果、住み心地などを実感してもらいます。 また、当地の森林組合や林業関係者などにも声を掛け、交流の機会を設けたいと思い ます。国産材の自給率が最低の20%になっているいま、国内林業関係者と建築家たち との連携が必要になっていると思うからです。また都市の建築家と林業の産地の関係者 の連携が待たれます。 1泊した翌14日(日曜)には、「荒れたみどり」の裏山で放置された間伐材などを 見てもらい、近隣の山林で間伐し、搬出、樹皮はぎなどを体験してもらう予定です。わ が家も林業の将来に賭け、最大限にボランティアでサービスするつもりです。 東京で働いている長女も、仕事でなんか建築に関係しているらしく(父親のくせによ くわかっていない)、当日の家事手伝いもかねてやってくる予定です。親父の本を知り 合いの建築家に見せたら、驚いていたとか。 山猿塾とFAGRIのみなさんで関心のある方は、ぜひ御参加ください。創作住宅と 拙著が話題のとっかかりになりますので、その前に拙著も読んでくださいね。なお、キ ャンプともちがい、参加対象は成人だけです。 くわしいことは、FARCDの参加希望者とまだ協議中ですので、決まったらここで もお知らせいたします。年末のことでもあり、いろいろ予定も多いでしょうから、とり あえず早めに御案内しました。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ 11685 ◆山猿塾だより◆173-鶏飼育&見学ツアー計画 FAGRI掲載日 97/11/20 ◇養鶏孵化計画◇ サナギマンさん(#11676) 鶏の初生雛の件、めんどうをかけます。名古屋コーチンだけをお願いします。業者に 頼めば簡単でしょうが、「むかしとった杵柄」で、少数羽飼育ながら当地に適合した鶏 に改良していきたいと思っています。 業者のものは血統などに不安があるので、原種鶏といえるものがほしいので、ぜひお 願いします。卵も一部は後継鶏として孵化していきますので、血統が明確になるよう、 1羽の雄に10から15羽の雌を1室で飼う単雄舎を建築する予定です。 雄2羽(1羽は予備)+雌10から15羽の単位でほしいのですが、できればその2 倍の雄4+雌20から30羽はほしいです。さらに欲をいえば3倍の雄6+雌30から 45羽がほしいです。 ただ心配は輸送手段です。むかしは100羽単位で25羽ずつ仕切った専用段ボール を使って鉄道便で輸送していましたが、いまはどうなっているかわかりません。少数の 羽数でも宅急便が使えるとは思いますが、そのうちに宅配業者に確かめます。 ◇鶏舎の建築◇ これもサナギマンさんの了解が必要ですが、鶏舎の建築位置は当初、斜面を考えてい ましたが、天敵の来襲に備えるには、天敵を防止しやすいように平地でしかも私の仕事 場から見える位置でないと対応できません。とくに最近、昼間からイタチとネコがあち こちで目立つようになりました。 そこでビワをサナギマン果樹園にいたる造成路の下側の斜面に移しました。事後承諾 になってしまいました。柿の横に通路を残して樹皮の山のまぎわまでのあいだに、幅1 間、長さ2間、つまり2坪の鶏舎を建てる予定です。 将来、場合によっては同じ幅で水路にそって増築できるように、水路と平行に敷地を とります。また、この位置は鶏舎に山水を給排水するのに便利です。この予定で自然石 を活用した独立基礎を造る工事を始めました。あしからず。 2坪の鶏舎は、1坪ずつ仕切って1室でも2室にでもなるように工夫するつもりです。 つまり雄1羽ずつの1群か2群かどちらにでも対応できるようにするためです。 また、将来、果樹の日陰になって作物が作付けできなくなる、サナギマン果樹園の下 を放し飼いの運動場にしたいためです。下の畑なども作付け作物の状況によって、鶏の 運動場に使える仕組みにしたいと構想を練っています。 ◇「創作住宅」見学ツアーの日程◇ 前回お知らせしました、建築・デザイン関係のFARCD−15会議室の建築家たち の「創作住宅」見学ツアーの日程が決まりましたので、お知らせします。 日程 :12/13(土),14(日) 参加費 :基本的に無料,食費は実費を当日精算。持込み大歓迎です。 用意する物:寝袋 ※参加希望者はFARCD−15会議室にチェーンを繋いで頂くか、世話役の徳田英和 さん宛(RXE11203)にメールをください。メールもしくはFAXにて道案内をお送り致しま す。 FAGRIのみなさんの場合は私・青木宛でけっこうです。 12/13(土) (東京出発組は東京駅で集合するようにしますが、新幹線の時刻はまたアップします。 am9:30頃の集合になりそうです) pm3:00JR丹波竹田駅集合(私が車で迎えに行きます) [JR福知山線(宝塚線)大阪発12:40−丹波竹田着14:52] [ 京都方向からは、福知山発14:45−丹波竹田着14:56] 〜「創作住宅」見学〜鍋を囲む会(丹波の林業関係者にも呼びかけ交流会) 12/14(日) 朝食〜間伐体験〜午後解散 ※14(日)午前中は間伐体験を企画しました。放置された間伐材、間伐もできないで荒れ た山がすぐそばにあります。また、10メートル前後のすぐそばに、ただでもらってい る間伐予定の檜があります。1本でも2本でも間伐して搬出し、樹皮をむいてもらうと、 生きている木のよさを経験してもらえます。 安全面は「ケガも自分持ち」ですが、下敷きになってもつぶれない細いのもあります し、手強いのもあります。見物、枝打ち、搬出など、各自が自己責任で、てごろな作業 を選んでもらえます。服装はハイキング程度のもので十分です。 ◇不耕起栽培の小麦が発芽◇ 恵みの雨が降り、97秋キャンプ山猿塾の参加のみなさんにまいてもらった小麦が、 雑草のなかで発芽し始めました。種まき後、山鳩がやってくるようになり、また子イノ シシがあちこちを掘り返すようになりました。 そのせいもあって、発芽がきわだっているのは、開拓小屋前などの厚まきしたところ です。上の畑は私が厚まきした苗床のほかは、まだまばらです。 子どもたちの泥遊びになったイチゴの移植はうまくつきました。その後、私が畦に移 植した野菜類は、子イノシシに鼻でかなり吹っ飛ばされています。毎晩のように、玄関 脇のコナラの下までやってきますが、深夜のことであり、いまのところお手上げの状態 です。いまにみておれよ! 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ 11708 ◆山猿塾だより◆174-創作住宅見学ツアー& FAGRI掲載日 97/11/27 こーちんさん(#11702) 御案内をありがとう。へーえ。一貫生産販売をやっておられるのですか。残念ながら、 タッチの差でサナギマンにお願いしました。最初は初生雛から育雛しますが、自然孵化 もやっていくつもりです。 てなことをいっていても、そっくりイタチにやられてしまう可能性大です。そんなと きには、これを機会によろしくお願いします。肉だけでなく、採卵との兼用を望んでい ます。 養鶏孵化のこともむかしのことしか知りません。〈ベトナム産名古屋コーチンの余波〉 なんてことも知りません。関係の会議室では問題になっているのでしょうか。 ◇「創作住宅」ツアー参加状況◇ 建築・デザイン関係のFARCD−15会議室のみなさんで計画されている「創作住 宅」見学ツアーは、いまのところ東京から設計士など4人、大阪から設計士とその家族 3人、兵庫県下から設計士1人、計8人の参加希望者になっています。 地元の森林組合とその製材所などにも、懇談、交流を呼び掛ける手紙を送りました。 都市の建築家たちと農山村の林業関係者との交流、連携が活発になり、国産材が安全に 活用されるようになればと願っています。 これを機会に都市の建築家たちには、間伐体験などで森林と林業の実態を知ってもら おうと思っています。Nackさん、森林塾の成果を披露してみてくれませんか。でも、 なんだか忙しいようでしたね。 テント暮らしやひまわり小屋で仮住まいしていたころには、専門家がここまで見学に きてくれることなど考えられなかったことです。やはり目に見える実物見本を作ってい くことの重要性をあらためて痛感しています。 ◇新聞報道と見学者◇ 『夕刊フジ』11月19日付p4のコラム「マスコミINSIDE」が、「毒漬け社 会に反発『ジャーナリストの使命』でわが家を自力建築した青木氏」という表題で、拙 著『やったぜ! わが家を自力建築−毒漬け住宅に住めるか』を紹介してくれました。 東京から掲載紙が届いてわかりました。『週刊金曜日』の「本の自己紹介」の掲載は来 年2月中旬ごろの予定です。 すでに読売新聞が丹波版で報道しましたが、産経新聞、丹波新聞も取材にきました。 拙著の発刊だけでなく、都市の建築家と地元の林業関係者との連携を重視してほしいと 強調しておきました。その連携のために、私も1人のジャーナリストとして力をつくす つもりです。 拙著の読者の見学がぼちぼち増えてきました。鳥取県内からもきてくれました。読者 ということではありませんが、地元の兵庫県立丹波の森公苑の職員や丹波各町の公民館 の「地域づくり専門委員」のみなさんもやってきました。 今日も市島町内の農家の人たちが数人づれできてくれましたが、案内できませんでし た。鶏舎につづいて、いま車庫兼倉庫の基礎工事にかかったところで、ちょうどコンク リートに水を入れて練っていたので、固まらないうちに作業を終わる必要がありました。 せっかくきてくれても、こんなときの突発訪問はどうにもなりません。物書きは遊ん で暮らしているとでも思われているのでしょうか。こっちは毎日、働きまくっています。 コンクリートをうったあとのビールはうまかった。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ 11718 ◆山猿塾だより◆175-養鶏&見学ツアー FAGRI掲載日 97/11/28 サナギマンさん(#11711) 了解です。実は、料理人の女房が「早く卵がほしい」といっています。また、せっか ちな横着農民の私も、樹皮は堆肥化に時間もかかり、早く鶏糞がほしいと思っています。 さらに「食べる人」の私も、安心してぶっかけられる生卵と、しまった鶏肉を早く食べ たいと思っています。 気の早い私の計画は、延期になることより前倒しになる傾向があります。というわけ で、育雛設備からつくらなければならない初生雛ではなく、鶏舎ができたらすぐ鶏舎に 入れられる中雛から始め、産卵までの時間と手間を横着しようかと思い始めました。こ ういうこともあって、こーちんさんの厚意に頼ろうかと思います。 こーちんさん(#11702) そこで、おたずねしたいことがあります。かつてのわが家では白色レグホンとプリマ スロック、またそのF1しか生産していませんでした。できることなら日本種にこだわ りたいと思い、名古屋種に色気をだしたわけです。 とはいえ、入手可能なのは、コーチンと交雑、改良固定した名古屋コーチンしかない だろうと判断したからです。だが、名古屋コーチンは飼ったことも孵化したこともあり ません。むかしの知識として、名古屋コーチンは巣につきやすく孵化育雛が上手だとい うことを知っていただけです。そんなら自家孵化に最適と思ったわけです。 名古屋コーチンは肉と採卵の兼用と思い込んでいましたが、型がいくつかあるんです ね。その2および3型の産卵率はどの程度のものでしょうか。別に多産系だけを追い求 めているわけではありません。そこそこの産卵率が確保できれば、肉用でも一向にかま いません。 当地、兵庫県市島町は、有機農業の伝統があるところで、有機農業研究会のメンバー で養鶏をやっている中心メンバーに聞きますと、岐阜の後藤孵化場(いまは改名してい る?)いわゆる「赤どり」を100日雛で入れているということでした。養鶏家といっ ても、いまは自分で育雛もやらないのですね。 そういえば、私もはじめ1回だけ育雛し、あとは母鶏の孵化育雛にまかせるわけで、 わざわざ育雛設備に金と手間をかけることもない、と思い始めました。100日雛なら そのまま鶏舎で飼えるでしょうから。100日雛は可能でしょうか。 鶏舎の建築も間伐から始めますので時間がかかりますが、遅くても3月中頃には使え ると思います。そのころ、雄2羽に雌30羽という半端な羽数でもお世話になれるでし ょうか。また、100日雛程度の輸送方法が現在どういう状況なのか知りません。輸送 は可能でしょうか。 Nackさん(#11714) 残念でした。だが、こういう機会は今後も追求していくつもりです。そのために実物 見本を作り本も書いたわけです。この会議室が再編、再スタートするのを機会に、私な りのビジョンを、できるだけ手短にまとめようかと考えているところです。 単なる食糧の自給自足ではなく、生物資源の多角的、有機的な活用の実物見本となる 暮らしを築いていこうと思っています。この場合の「有機」というのは無機に対するも のではなく、自然の物質循環の百態に有機的、総合的に適応するといった意味です。要 するに百姓です。 先日、3、4時間で下駄5足を造りました。桐ではなく檜の心材ですから重いですが、 なかなかの上出来です。鼻緒は例の木綿ひもを使い、下駄の歯は木ネジでつけ、すり減 れば取り替えられる構造です。木でもいろいろな実物見本を作りつづけます。 ところで〈国産材のライバルは外材でなく、プラスチック製品なんだそうです〉とあ りましたが、いろいろ調べた結果、拙著にも書いたとおり、この両方だと思います。プ ラスチックなどの非木質建材だけを強調しすぎると、片手落ちになります。仕事をいろ いろ作ってしまい、2番会議室に顔を出す余地はありませんので、一言。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ 11736 ◆山猿塾だより◆176- FAGRI掲載日 97/12/03 ◇初雪だ! 山へ◇ 初雪が10cmばかり積もりました。積雪を見るとじっとしておれなくなる頑固爺で す。「犬といっしょね」と、女房にからかわれます。そこで番犬のゴンを連れて朝一番 に山に入りました。いつもの決まり切った女房との散歩コースと違い、どこへ行くか行 ってみないとわからない親父と道連れで、ゴンも大喜びです。 まず、敷地内を回りました。まだ葉を付けているKOHクワガタの森のコナラが、張 りすぎた横枝を雪に折られていました。自然の剪定でしょう。サナギマン果樹園はサナ ギマンさんの剪定が終わるまでに、自然に剪定されてはまずいので、押し曲げられたミ カンやスダチの積雪を落としてやりました。 タヌキの餌場にもまだ野生動物たちの足跡はありませんでした。山のなかを小1時間 歩きました。寒風が肌を切る冬が大好きです。が、森のなかは暖かいです。一昨日から 始めた間伐と搬出は中止し、机に向かいました。 ◇天敵排除の大型パチンコ◇ こーちんさん(#11723) いろいろめんどうをおかけします。頼りにしています。 カンガルーなら約6キロの近場にトラックターミナルがありますから、最適です。放 任に近い飼育にしたいと思っていますので、産卵率は落ちるでしょうが、50%もあれ ば十分です。産卵を怠け始めたものから順にいただいていきます。 鶏舎も自然石を使って基礎工事は終わりましたが、なにせ用材は間伐で調達していま すので、完成は3月になります。金網はあまり丈夫なのが入手できなくて、イタチが心 配ですが、一応購入ずみです。 テラスの台にしている丸太に二股の桧を付け、回転軸式の大型パチンコ(石鉄砲)の 装備を計画しています。ここから見下ろせる位置に鶏舎を建てる計画ですから、イタチ やネコ、キツネやタヌキが近付いたら、狙い定めてバチッと石を放ってやろうと思って います。この年になって、悪ガキのころのいたずらを思い出してしまった。 しかし、寝ずの番はできません。強力な電気柵でも作ってやろうと思案中ですが、よ その飼い犬をお陀仏にしてしまってもまずい。かつてわが家では、鎖を切った自分の飼 い犬の命を奪った経験もありますので、あまり強力ではまずいですね。 ◇見学ツアー地元の参加者◇ FARCDの東京の建築家の呼びかけで始まった「創作住宅」見学ツアーには、地元 の市島町森林組合の森林の現場にくわしい課長ととともに、その製材所の所長がきてく れる予定です。そして、昨日は地元の丹波新聞社の社長(元日経写真部長)から「私も 参加させてほしい」と、電話がありました。 FAGRIの森林・林業部会のみなさん、元気がいいところで建築家たちと交流しま せんか。日本の用材の7割までが住宅建設に使われています。建築家との連携が、安心 な国産材の再評価、再活用のチャンスです。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ 11878 ◆山猿塾だより◆177-見学ツアーと今後-上 FAGRI掲載日 97/12/17 ◇「創作住宅」見学ツアーと見学会に約40人◇ 13、14両日の建築・デザイン関係のFARCDの有志による「創作住宅」見学ツ アーには、FAGRIの関係者の参加はゼロでした。しかし、山猿塾の今後の方向に大 きな影響があると思いますので、上下の2回に分けて概要を報告します。 私の自宅「創作住宅」は、今後の生活全体の転換の拠点の実物見本です。具体的な建 築過程の報告はどうしても建築の専門分野にかかわるので、FARCD−15会議室で 「自然に学ぶ山猿塾報告」として不定期に書き込んできました。 この会議室では、拙著『やったぜ! わが家を自力建築−毒漬け住宅に住めるか』を 読んでくれた東京の建築家の有志が中心になって、「創作住宅」見学ツアーが企画され ました。私もその受け入れを快諾し、1泊2日で「創作住宅」の暮らしを体験してもら うことにしました。 同時に、地元の林業関係者にも都市の建築家との交流を呼び掛けました。その呼びか け文は、これまで山猿塾と創作住宅について報道した新聞社の地元支局、通信部などに もFAXで送りました。読売新聞と神戸新聞の丹波版、丹波新聞などが拙著の紹介とと もに創作住宅見学ツアーの予告記事を掲載してくれました。 当初、見学の13日にはせいぜい20人前後の参加とみていましたが、総勢40人前 後になりました。なにせ、その案内やら説明に追われ、参加人数の確認はできませんで した。 FARCDの有志の参加者は、設計事務所の代表や設計士、国立研究機関助教授、工 房代表者、弁護士、大学院生ら10人余でした。地元の市島森林組合からは、課長と製 材所長、今年高卒の現場作業員2人と丹波新聞社長、朝日新聞系の地元ミニコミ紙の関 係者、新聞報道で見学会を知った人たちがきてくれました。 新聞記事を見てくる地元の見学者は、13日以来、今日17日まで毎日つづいていま す。「作れるものなら自分で木の家を建てたい」「無駄にしている間伐材で建てられる ものなら建てたい」といった思いを抱いている人たちでした。実物見本の創作住宅を見 てくれ、やはり木がいい、自然の素材がいいと実感してくれたようです。 地元の見学者は夜には帰りましたが、東京や関西の見学ツアーの参加者と市島町森林 組合の人たちなどで、鍋を囲んで交流しました。そして見学ツアーの参加者10人ほど はわが家でシュラフで雑魚寝しました。 翌14日には、近隣の山林に登り、放置された間伐材など森林の実態を見たのち、間 伐を体験してもらいました。東京の設計士などにとっては、間伐作業はかなりの重労働 です。前夜の酒も残っている気配で、間伐は中止しようか聞きましたら、若い設計者の 「やってみたい」という意思表明で決行となりました。 危険なチェーンソーを避けて、手引きのノコギリで間伐を始め、腕首ほどの桧の間伐 から始めましたが、だんだんエスカレートして、元口十数センチのものまで挑戦しはじ めました。やはり人間は大したものです。たいがいのことはやればできます。 昼食を区切りに、間伐も切り上げました。東京からの参加者はザックを背負ってもよ りのJR丹波竹田駅まで徒歩で下りていきました。建築の専門家たちが、東京くんだり からはるばる丹波の山奥まで、それも素人の家を見学にきてくれること自体が、なにか 逆さまの感じがします。 しかし、毒漬け外材や化学合成物質などを使いまくって、自国の森林資源も活用でき なくなっている、住宅産業の逆立ちした現状の反映です。良識ある建築家ならだれも建 築産業の現状を肯定するわけにはいきません。 ◇見学ツアー参加者の感想◇ FARCDの見学者たちが私の創作住宅を見てなにを感じてくれたかは、いつもは開 店休業状態の15番会議室に書き込まれています。そのポイントを紹介します。 〈夕食を囲んで、森林組合の方々や参加された方といろいろとお話を聞けて大変勉強に なりました。環境への負荷がより少ない建築を考える折にも、エネルギー総量の少ない 方法を取り入れ、生活自体の見直しも含めて実行するほかないのでしょうね〉 〈私は結構いろんな建築家の作品も見ているつもりですけど、それよりもオリジナルの アイデアという意味ではずっと惹かれるものがありましたねえ。たぶん専門家は、ある 程度こなれた技術しか使わないから……素人が独自の発想で最初から考えるというのは、 意外に本質をついていることもあると思いました〉 〈自力で建てたこともともかく、自由なアイデアに圧倒されました。住宅が自分のライ フスタイルの反映であり、個人が住宅を通しても本当の意味で自己実現しているという 意味で興味を引かれました。……部分的なアイデアでなく基本的な考え方を今後の参考 にしたいと思います〉 〈今回の見学で一番感じた事は、あの家は青木さんが「自力」で建てられたけれども、 決して「独力」でできたものではなく、人や自然を含めたあらゆるものを青木さんがそ れぞれの価値が出るように結び付けた、引き出した成果、ということでしょうか.青木 さんが、テント生活からはじめられ、まずその土地を理解しようとされた発想に大きな 共感と尊敬の念を抱きました〉 〈青木さんの暮らし・生活に対するこだわりには敬服いたしました.……自力建築,創 作住宅といったところもさることながら,やはり,地元の木をしかも間伐材を利用して いるということ,それが,地域の人々の意識を変えるだけのものであることに非常に意 義があるように感じられました〉 建築家たちは、創作住宅に体現した私なりの生活転換の具体化を読み取ってくけたよ うです。私も彼らから学ぶところがあり、今後の自然の原理に適合していく暮らしの実 物見本づくりに生かしていこうと思います。この点については回を改めます。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ 11906 ◆山猿塾だより◆178-見学ツアーと今後-下 FAGRI掲載日 97/12/20 見学ツアー以外の丹波地方の周辺からの見学者のなかにも、かなり自力建築をめざそ うとしている人たちがいました。自力建築志向の背景には、住宅産業の現状や長引く不 況もありますが、やはりいまの資源浪費型の生活からの転換を求めているように思いま す。 私は別に自力建築だけにこだわっているのではなく、また、自分の家を建ててしまっ たら終わりということでもありません。私が家作りでめざしたものは、見学ツアーの東 京の設計士の話や、土産でいただいた「東京の木で家を造る会」のパンフレット『森林 をつくる家 職人とつくる家』にもられている内容と一致していました。 「東京の木で家を造る会」は、多摩川流域の木を使って家を建てることで、森林を再 生し、東京の自然環境を守ることを目的につくられました。林業家、製材所、工務店、 建築家、さらに家を建てる人が一緒になって、お互いに顔の見える関係で家を造ってい ます。 考えてみると、このオーケストラのような仕事を、私は自分一人でやって自力で創作 住宅を建ててしまったことになります。今後はその実物見本を拠点にして、「東京の木 で家を造る会」の経験も取り入れ、この丹波の地で「地元の木で家をつくり森林を育て る会」のようなものを創設していきたいと思っています。 丹波の地元の人たちの関心もひろがりつつありますし、林業関係者や設計士、工務店、 大工などの職人などとも連携していくつもりです。私の創作住宅は地元の木でつくった 家の実物見本であり、見てもらえばそのよさは明白であり、「地元の木で家をつくり森 林を育てる会」の力にもなってくれるのではないかと期待しています。 「東京の木」や「丹波の木」だけではなく、それぞれの地方の「地元の木」、国単位 では日本産の木を有効に活用していくことが、自然の理にかなっています。「荒れたみ どり」の日本の森林と慢性不況の林業を、再生していくことにもなります。いうまでも なく、日本の木材の自給率の向上は、世界の森林の乱伐を防いでいくことにもつながっ ていきます。 拙著『やったぜ! わが家を自力建築』にも書きましたが、日本の林業の苦境は農業 の今後を先取りしています。木材は7割が住宅向けですが、木材の8割までが外材に依 存し、自給率は20%という最悪の事態になっています。 木材は住宅建築の主要な資材であり、日本の主食である米がもし自給率20%まで低 下してしまったらどうなるか、今日の林業の窮状が示唆しています。日本の住宅は外材 だけでなく、海外の資源に依存した非木質建材が増え、海外の資源でできているといっ ても言い過ぎではありません。その結果、毒漬け住宅が横行しています。 私は地元の間伐材を使って、素人でも自力で100%国産材の家が割安で建てられる ことを実証しました。今後は、この実物見本を生かしながら、林業家、建築家、住み手 が協力しあって、それぞれの地元で国産材の健康な家を造っていこうというわけです。 それが日本の森林を育てていくことでもあります。 これは、すでに自給率の低い小麦や大豆などから順に作付けし、農作物の自給を目指 している私の実地体験取材と同じ目的によるものです。当面は自分の食べる物くらいは 自給することを目標にしていますが、私個人がその目標を達成したら事足りるというも のではありません。 日本の食糧の全面的な自給体制がどうしたらできるのかという大きい目標を背景にし た、私なりの実地体験取材であり、自給自足の実物見本作りです。さらに大きくは、再 生可能な生物資源を活用する農林水産業を中核に、資源浪費型の産業と生活を全面的に 転換していくことです。 ここから先は、拙著『自然に学ぶ丹波山猿塾』でもふれた、新産業革命、新生活革命 が不可欠です。もう理屈はあらかたわかっており、抽象的な論議の時代ではありません。 理屈どおりやるのかやらないのか、実力行使で産業と生活の全面的な転換を切り開いて いく時代にきています。少なくとも、実力行使による実地体験取材が、この時代に生き る1人のジャーナリストとしての私の使命だと思っています。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ 11910 ◆山猿塾だより◆179-食糧と燃料の自給 FAGRI掲載日 97/12/20 サナギマンさん(#11895) 23日ですね。また、大忙しの1日になりそうですね。私もできるだけ一緒に外で働 きますが、いろいろ相談して知恵を出し合っていく必要性がでてきたようです。また、 後述のように鹿の登場で車庫兼物置と鶏舎の建築が遅れ気味になってきましたので、こ っちのピッチもああAbッればなりません。 私も同じようなことを考えています。日本人の1人当たりの平均耕作面積から見て、 どのくらい農作物を生産すれば自給率を100%にできるだろうかといったことです。 が、とりあえず持てる土地を最大限に活用すれば、どこまで自給できるか、足元から確 かめていこうと思っています。 かなり建物が増えるので、耕作・作付け面積が限られてきました。また、春以来、不 耕起栽培も含めてかなり作付けしているのに、夫婦2人だけでも相当量が必要であり、 人間はよく食うとあらためて感心しています。生産量をもっと増やす必要があります。 おかげで果樹も次第に豊富になりつつありますが、柿や栗などももっと量がほしいで す。農作物の作付け面積を減らさないように、小屋や自宅の周辺や斜面、土手などを最 大限に活用しなければなりません。自宅の西側の三角の畑を自家野菜用に確保していく ため、サクランボも土手に移そうかと迷っています。 見てもらえばわかりますが、野菜でも斜面のササの切り株のあいだで、かなり育って います。ただ草刈りやササ刈りをしているだけでは負担に感じますが、そのあとに作付 けできるなら、やりがいが生まれてきます。 ◇鹿に食われてしまった小麦苗と大根葉◇ 鹿が解禁になり、ハンターが鹿を撃つ銃声がも聞こえていたというのに、創作住宅見 学ツアーのみなさんが帰っていった14日の夜、上の畑を鹿にやられました。この日に は、鹿は近隣の山で2頭射止められましたが、別口がきたようです。鹿も命がけです。 翌朝、上の畑にあがってみると、そろそろ移植が可能なまでに生えそろっていた小麦 の苗が、機械で刈り取ったようにきれいに食われていました。株は残っているのでまた 伸びるでしょうが、成長中の大根は葉っぱを食い取られてしまいました。 同じ小麦でも、崖にばらまいたものや不耕起栽培で雑草と同居しているものには手を 付けていません。耕した畑に小麦だけが生えそろったのを片付けていました。鹿に作物 を食われてしまっては自給も不可能です。 毎日毎日、働きまくっているのに、鹿が仕事を増やしてくれました。創作住宅見学ツ アーのみなさんが間伐体験で伐採していてくれた細目の桧で杭を造り、鹿の防除網50 メートルを張りました。これに丸3日かかりました。まだ足らないので、防除網50メ ートルを農協に追加発注しました。 ◇ままならぬ薪の自給◇ 昨冬までは創作住宅の自力建築に専念し、暖房用の薪は森林組合製材所からコワの薪 を購入していましたが、今年は余材と間伐材で薪を自給するつもりでした。いまのとこ ろ薪は1本も購入していませんが、かなりの量が必要です。備えていた分量では足らな くなる気配です。 近くの山に間伐したばかりの桧約400本が放置されており、これは引き出せばただ でもらえることになっています。とはいえ、その搬出はかなりのエネルギーの消費を覚 悟しなければなりません。なにごとも、自給とは、自己生体エネルギーのおしみなき投 入です。 だれもが放置間伐材を燃料に活用しはじめれば、これもただ+自己の汗ではすまなく なります。再生産を無視した食糧、森林資源、エネルギーの海外依存のツケは、かなり 高い物につくでしょう。そんなことを考えながら、間伐材を裁断し割って薪を造ってい ます。こういう生活を何人の日本人がやってのけられるかと思うと、人工淘汰も自然の 原理かな、と思ってしまいます。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ 11976 ◆山猿塾だより◆180-定年帰農&年末年始 FAGRI掲載日 98/01/02 みなさん、おめでとうございます。 農文協『現代農業』の2月増刊『定年帰農』に、第三種兼業農家・青木の一文が掲載 されています。ぜひ、御一読のうえ御感想をお聞かせください。 サナキゼマンさん 年末は御苦労さんでした。新しい果樹も増え、5年後、10年後が楽しみです。畑の エンドウのテは、KOHさんが引き受けてくれそうです。ただいま2日午後4時、彼が やってきて薪割りをはじめました。 秋の収穫キャンプのさい不耕起栽培で筋まきした小麦も、雑草のなかにそれらしいみ どりの筋が見え始めました。鹿に刈り取られた小麦の苗も盛り返しつつあります。その 後、土手などにまいたエンドウも順調に育っています。 ササが茂って密林のようになっていた土手や崖でも、ササの切り株のあいだに移植し たナバナやチンゲンサイが予想以上に育ち始めました。水菜はもうひとつですが、やは りやってみないとわかりません。 創作住宅見学ツアー以来、年末年始は見学、来訪者が断続的につづいています。元旦 早々にも訪問者が多く、KOHさん一家もきてくれました。 創作住宅という実物見本ができて、最近の特徴は住宅建築に関係した来訪者が多いこ とです。大阪のゼネコン社員の場合は、同じ市島町内の山間に土地を入手していました が、いよいよ事を始めました。 年末の29日には建築資材を2トントラックで持ち込み、増築工事中で通気に優れた ひまわり小屋に泊まりました。冬は寒いのが当たり前です。そのくらいの覚悟がなけれ ば、自力建築も不可能です。 私も年末には追い込みをかけ、間伐材と野地板を活用した車庫兼物置を雨露がしのげ るところまで造りました。車庫としては立派なもので、その一部に床をつけ、そこに精 米機や穀物と野菜などを貯蔵するスペースを造ります。 屋根も野地板を張って木タールを塗ろうかと思っています。今冬は枯れた薪を用意し ていたのと暖冬のためか、思っていたほどストーブでの木酢液の生産があがらいので、 どこかに木タールがないか探しています。 1月のできるだけ早いうちに車庫兼物置を完成し、鶏舎の建築にかかります。また、 自分の家の自力建築が完成したらそれで終わりといのうではなく、今年は「地元・日本 の木で家をつくって森林を育てる会」を創設する活動を開始します。 その趣旨を地元の森林組合製材所長にも話しました。丹波だけではなく、ゆくゆくは 全国的な運動にひろげていく計画です。すでに実在している「東京の木で家を造る会」 のパンフレット『森林をつくる家−職人とつくる家』は、私の構想とも一致しており、 手短に要領よく趣旨をまとめています。 さっそく20冊を取り寄せ、拙著『やったぜ! わが家を自力建築−毒漬け住宅に住 めるか』とともに、できるだけ多くの人に読んでもらおうと土間に平積みにしています。 全国の同趣旨の団体も探して連携し、全国的な組織で全国的な運動にしたいものです。 私の第三種兼業農家の実物見本も、ただ自分が食べる物さえ自給自足すれば終わりと いうものではありません。日本の食糧自給率を向上させていく全国運動につなげていく つもりです。 届いた年賀状によると、京都のTさんはともに山猿塾にやってきたSさんともに土地 を入手して、山猿塾**分校をめざして事を始めました。また、大阪のNさんは4月に は奈良県内の山村に移住します。 今後の私の構想と山猿塾のビジョンについては、会議室が再編され再スタートするの を機会にあらためてまとめたいと思っています。私の個人的構想をたたき台にしてもら い、参加者などのみなさんの意見交換で、山猿塾のビジョンを練り上げてほしいと思い ます。 目次へ MSHIBATA'S Home Pageへ